Side-Pressを超えるSide-Pressを求めて・・・・・
スピーカー宙吊りは、本当に理想的なセッティングなのか!?
スピーカーのセッティングの話になると必ずと言って良いほど出てくるセリフ
「スピーカーを天井からワイヤーで吊るすのが理想さ!」
本当にそうなのでしょうか!?
実際にやりもせずに、脳内妄想だけで吐いている言葉ではないのでしょうか。
実際どんな音が出るのか! 使い物になるのか?
実際に実験しました! 結果は?
完全宙吊り (比較試験) 試聴状況 | 宙吊り開始前のスタンド |
Side-Preess HSモデルに同じ幅(340mm)のミニスタンドを組みつけました。SPに傷をつけないように太さのある梱包用ロープで吊りました。 | どうせやるなら本格的に! ジョセフのRM7XLを吊りました。 |
吊ってみて!
落ちると言う感じはしませんが・・・・ ちょっと触れただけで前後左右に動きます。 エアコンの風でさえ動きます。 完全自由な吊り下げ状態です。 |
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側面から見た状態 | |
正面から見た宙吊り状態 ただ乗せただけですが、左右への勝手な倒れは起きません。 | 比較用のSide-Press 標準的なセッティングです。 |
通常試聴に使っているソースを使って比較しました。
Four Play、DENONのオーディオチェックCD、カサンドラ・ウイルソンのジャズ、メリーアメリングのソプラノ、鬼太鼓座数種、マーラー等のシンフォニー 他
DAC出力の片チャンネルの出力をアンプのR,Lに抜き差ししながら 左右の音を聞き比べます。
さて、音はどうだったでしょうか!?
●宙吊りセッティング 第1印象
聞いた瞬間の音は、「非常に美しい音」 と感じます。角がなくバランスが取れていて、ほっとするような優しい音が出ているように感じます。
●Side-Press セッティング 第一印象
宙吊りに比べ、明らかにメリハリが利いた音です。 宙吊りの音を聞いた直後は、何かが抜けて何かが加わったとも感じます。スタンドが仕事をしていると感じます。
●宙吊りを聞きこむと・・ スタンドや床の状態は? 様々な音源を聞くにつれて、両者の特徴が良く見えてきます。
宙吊りは、音楽を楽しませてくれますが、力と言う要素が大きく欠けているのが気になってきます。
音の芯が少ないのです。スピード感という言葉は似合いません。小音量では、繊細な音とも言えます。
低音は、まったくと言って良いほど出ません。ウーハーがないのでは、と思うほど。
低音成分の多いソースを使うと、ウーハーは盛んに振動しますが、スピーカーはその反動で前後左右にユラユラゆったりとブランコのように動いてしまいます。
まさに「暖簾に腕押し」状態。スカスカです。ウーハーがスピーカーBOXをガクガクと揺らしているようなイメージです。
鬼太鼓座のCDで直径3mほどの太鼓が鳴らされる部分(弓が島)では、スピーカーが落ちる!と慌てて再生を止めたほどに前後に大きく揺れました。
スタンドの支柱は、まったく振動していません。
床は、部屋全体の音圧を受けて多少振動しますがスタンドの場合とは比較にならない位に静かです。
スピーカー自身が手を触れるとビリビリ感じるほど相当に振動しています。短い宙吊り紐も盛んに振動吸収を行っているようです。
●Side-Pressの標準セッティングは
宙吊りよりレンジが圧倒的に広いことが直感できます。まったく別物です。その影響で中音域のエネルギーが若干細く感じる部分もあります。
上下に非常にバランスのとれた音であり、音楽に安定感と重量感が伴ってきます。これが大きな違いです。
重低音まで沈みこみ、先の鬼太鼓座の大太鼓では床、壁、建物が揺れ動くような凄まじい低音を体感できます
こちらを聞きこんでしまうと、宙吊りは、単に小綺麗な音という印象が強くなってしまいます。
●私は、3日間ほど、ステレオ環境も含め、この二つの音を聞いていましたが、結局、宙吊りの音を常用にしたいとは感じませんでした。
常に物足りなさを感じながら音楽を聞くということは意外とストレスを感じますね。う〜ん・・・何か来ないなあ・・・・という感じ。
再生と一緒に揺れ動くスピーカーを見て、そこからしっかりとした音が再生されているとは思えません。
スピーカーの再生には、安定した支点があることが必須と改めて痛感しました。
この音が理想という人は、実際に体験も実験もせずに、空理空論を吐く人だと思って良いでしょうね。
<今回の個人的教訓>
@このセッティングでは、そのスピーカーの基本的な音質的な持ち味が良く分かります。
ここで感じた音色感とバランスをどうするかがチューニングになる訳ですが、そのレファレンスとして、この音を聞いておくのは有益と感じました。
Aスピーカーとスタンドの接点部分、すなわちスピーカーの支点が必要というのは書いた通りですが、他にも大切なヒントを幾つか得ました。
これは、今後の製品開発においても考慮していきます。
Bこれは、反省です。私は、天井吊りなんてあり得ない、もしやるなら天井の強度が相当になければダメと思っていました。
しかし、今回の実験では、短いロープで吊っただけなのに支柱がまったく振動しないのは意外でした。
こういう状態なら吊っても天井が鳴くことは少ないのかも・・・と思いました。潜入観念に負けてはダメですね。
C天井と床からワイヤーでスピーカフロントバッフルの4隅を引っ張り、各ワイヤーにたっぷりとテンションをかけて支点を明確にした空中吊り・・・
面白そうですがスピーカーが壊れそう(汗) どんな音になるものやら・・・・誰かやってみませんか!?
●試聴室に来られれば、20分ほど時間をいただければ、この宙吊りセッティングを実体験することができます。
こういうのは、自分の耳で確かめ、その印象をしっかりと記憶することが大切ですね。
●関連記事 こちら
以上。