ご参考 : FAPS試聴室のオモシロアイテム

(独)クリスタルオーディオ社リニアトラッキングLPプレーヤー 「 The Evolution Model 」

このLPプレーヤーは、私の自慢の一品です。 (写真はクリックで拡大できます)
何が自慢か・・珍しい! これもありますが・・・これしかない・・・か(笑)

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クリアオーディオというドイツのメーカーのThe Evolution Modelという総(ほとんど)アクリル製です。
コンパクトな外観に美しい仕上げで、しかもトレースにリニアトラッキング方式を使った変り種です。

総アクリル製でダイヤカットされてキラキラ光る外観は、動かしていても見ていても楽しめます。
美しい真鍮製のケースに入った高品質な独立モーターによる駆動方式。
分厚く重いアクリル製ターンテーブル。
エアサスベースに乗せ、モーターの対面コーナーに鉄製ウエイトを置いてバランスを取っています。
それらの効果もあって、抜群の静粛性とSN比を誇ります。

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なんとも変わったアクリルアーム部分は、オイルダンプ機構がついており、
実にしっとりとした動きです。
アームベース、大きなスパイクベース、モーターケース、もちろんターンテーブル軸受けも・・・
高精度な真鍮削りだしで作られていて持つ喜びを感じさせるものです。

と、ここまでは一応褒めておきますが・・・・


この品物、実は、とある輸入代理店の廃棄物。
なんと動作保証なしのオブジェ扱いで捨て値同然の1万5千円で譲り受けたのです。
状態は、未開封の新品でした。
どうにも使えないから飾るだけにして! という泣けるアドバイスも貰いました。

実際、使いこなしは非常に大変でした。使い物にならない・・というレベルからスタートでした。
とてもじゃないが人には薦められません。

暴露すると、いわゆるアーム部分・・・
2個のプーリーでワイヤーの上を動くヤジロベエカートリッジシェル。
ビニールパイプで連結されたネジにぶら下がっているだけのウエイト。
外観の大袈裟さとは逆に異常にチャチな仕掛け・・・針圧調整も大変
カートリッジの質量と針先のコンプライアンスの関係も重要
再生するLPの厚さまで影響する。

普通にやったのでは、飛んだり歪んだりでまともな再生はできません。
0.1mm精度の調整が必要で、まさに根気との勝負。
録音のダイナミックレンジの大小もしっかりと影響する等々
問題はいくらでもありました。

それらを何とか克服して(何とか)きちんと音を出せた時は・・・
音質云々をさておいても、感動しました。
結局、何とか使いこなして常用できるまでに2年かかりました。
こんなゲテモノをそこまでして使う理由は、その美しさと危うさ際どさ。

実用性や機能性で選ぶのであれば、落第というか欠陥商品に入ります。
こんなゲテモノを使えるように調整できたことが自慢なのです。
今、日本で動いているのは・・・何台あるものか・・・疑問です。ないかも・・・

以下は、その苦労話の一部です。

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仕組みは・・・写真で見るとわかるように張ったステンレスワイヤーの上を
2ケのプーリーがついた前後にヤジロベエ運動をするカートリッジ台が走るというもの。
オモチャのようなアーム(と言えるか?)のチューニングには苦労しました。

ムービング系の質量が小さいため、プーリーは引っかかりもなくスムーズに走るのですが問題多発。
カートリッジの上下移動距離が5mm程度しかないためアームの高さも非常に微妙な調整が必要です。
最初は、後部ウエイトがレコードやアームに接触してしまい音が出ませんでした。
メーカー毎のLPの厚さの変化によりトレース能力が変わってしまいます。

コンプライアンスの高いカートリッジは、飛んでしまいトレースできません。
強音部でビビリと歪みが発生してしまいます。
スタイラスから伝わる振動が走行系に害を及ぼしているようでした。

カートリッジを含めたムービングマスとカートリッジのコンプライアンスの微妙なバランスが問題でした。
これが合えばきちんとトレースできるはずと考え、
走行部に鉛ウエイトを付加しある程度のムービングマスを確保して走行系に落ち着きを与えました。
後部ウエイトの取付方法も加工して上下移動距離を少し拡大しました。
試行錯誤を繰り返し、使えたカートリッジは、何とあのオーソドックスNo.1?のDENON DL103でした。

あまり品質の良くなかったゴムベルトは、半年ほどで劣化して切れてしまいました。
これは、シリコンゴムで数本のシームレスベルトを作ってもらうことができて問題をクリア。
何とかメインプレーヤーとしてのポジションを確保したのでありました。
FAPSへSide-Pressスタンドを試聴に来られるお客様が持参する優秀録音のLPを苦もなくトレースしております。

苦労はしましたがメンテナンスは至極簡単? 
ステンレスワイヤーをクリーニングするだけで問題なく動いています。

それまで使っていたP社の高級DDプレーヤーを惜しげもなく人にあげてしまいました。