FAPS        Side−Press スピーカースタンド お客様レポート   


今回のレポートは、茨城にお住まいのT様のFAPS試聴室訪問〜サイドプレス導入のレポートです。


BOSE363がサイドプレススタンドの特殊セッティングで素晴らしい音に激変!! 


T様がFAPS試聴室にお越しになられたのは今回が2回目でした。
初回は奥様とご一緒に訪問くださり、憧れのPMCの音を堪能され、小型スピーカーの素晴らしさを再認識されました。

今回は次期スピーカーとスタンドの調達にあたり、念のためにと、廃棄予定であった愛用のスピーカーを持参下さいました。
一つは長らく使いこんだBOSE363
もう一つはたまたま手に入れた定評のあるKenwoodの小型スピーカーLS-SG7
ご自宅で使用なさっているスタンドも持参下さいました。

持ちこみ試聴は朝から夜までの長時間に及びました。
BOSEの363、最初に純正状態で音出しをした時には、ピュアオーディオには使えない・・・と思われたですが、
FAPS独自の世界唯一とも言えるセッティング方法をご提案して音を激変させ
オリジナルとはまったく違った、素晴らしい音を奏でるスピーカーシステムに変えることができました。

最悪、新たな機材の調達に数十万円の出費を覚悟していらっしゃったT様。
まったく信じられない結果に驚き、姿も音も一変した愛機363を目の前にして、唖然・茫然・・・・
自分の愛器の出す衝撃的ともいえる素晴らしい音に涙して、じっくりと聴き入っておられました。
スピーカースタンド専門屋として喜びを感じる瞬間でもありました。

ご自宅に戻られてからも、「同じ素晴らしい音が出てます!!」と嬉しさに耐えられず、深夜に喜びの電話をくださいました。
寝不足にご注意を!とお願い申し上げました。

どんどん様子が変わっていく試聴の様子を写真でご覧ください。
この日の朝、
2回目の来訪となるT様をお迎えする準備が整った試聴室の機材
試聴室に持ちこまれたT様のスピーカー2セットとスタンド2セット。
朝早くに車に積まれてこの日の試聴にお出で下さいました。

1週間前に奥様と一緒に来られ、
その結果を受けての2回目の来訪です。

奥様は先週聞いたような音が聴けるようになるなら良いんじゃない!
と仰ったとか。
奥様の理解が有るか無いかは、大切な要件です(笑)

 

T様ご愛用のBOSE363
こんなスピーカーです。
http://audio-heritage.jp/BOSE/speaker/363westborough.html

小さい方は、ハードオフで3,150円買って来られたKenwoodのLS-SG7
そのスタンドして使われていた、美しくやたらと重いケヤキの台
面白そうです!?

T様の最大の恐れは愛用BOSEが3,000円の安ものに負けるかも・・
という得も知れぬ恐怖感と期待感?でした。

最初に試聴室の音をお聴きになっていただきました。
目標の音を確かめます。
時間を忘れ、持参の沢山のCDに聞き入っていらっしゃいました。

そして一言「この音! このまま持ちかえりたい!!」
では始めましょう!

ご自宅と同じようにセットしてもらいます。
ボワーンと広がり遅れる低音が変に床を鳴らしています。
古き時代のステレオ風の音・・・
小音量のBGMなら何とか・・・
音量を上げると聞いているのが辛くなります。

ご自宅でも同じような音とのこと。
これでは・・・やっぱり廃棄と思わせる音です。
音の定位感もなく何となく音が広がっていました。
その原因は、二つのユニットを重ねていること、下側の恰好よいスタンドと推察しました。
実際、見た目のスマートさとは裏腹に盛大な付帯音が出ていて、床も鳴らしていました。
音響機材の設置は、面で受けたら駄目です。どんなに高価な装置であっても真価を発揮できません。

 

とりあえずご希望のスタンドにセットして聴き比べます。

音に切れが出てきて、スッキリとした音に!
ものこの時点で激変です。
音はともかく・・・
この恰好はキツイ! うーん・・・
左右をきちんとセットして音出しを行います。

パワーアンプを3種類切り替え、音の出方の変化も聴いてみます。
音の出方に基本的な違いはありませんが、真空管の音に力強さと太さ、温かみがあります。
このスピーカーとの相性も良さそうです。

このアンプ(真空管アンプの入門用、定価十二万ほどのTRIODEのTRV-88SEというもの)を使って進めることにしました。
音は我慢できるにしても、この外観は・・・
ツイーターが中心にあるのでオーディオ的には、特別に変ではないのですが、奥様がこれを見た時の顔を想像すると・・・・

とりあえずサランネットを付けて刺激感を下げます。

音は妙な響きがあるにしても、結構まともに聞こえます。
一縷の望みがあるという印象です。

T様は既に悩み始めていました。
3000円の安ものに負けると言う想像が間違えてたのか・・・と
第2ステップです。KenwoodのLS-SG7。
3150円で入手したと言う中古スピーカーですが、
一部のマニアには音が良いと有名なスピーカーです。
新品定価は23,000円程度だったと思います。

非常に重いケヤキの台にインシュレーターを介して乗っています。
出てきた音は・・・
正直に言って・・・
見事に小型スピーカーの良さを殺した音!
中低域にまとわりつく台の響き、床の振動も多く、
音が混濁しています。
T様は、少し安どした様子?
それでは!と私が選んで置いた自社のRB/SEサイドプレススタンドにLS−SG7をセットしました。

最初に片チャンネルだけを使って、BOSE363と音を比較しました。
 
小型のLS−SG7が圧倒的に優れたバランスの音で伸び伸びとなっています。

左右を鳴らして試聴してから、各種試聴を開始します。
価格をまったく思わせない音で朗々と鳴っています。
当然のように素晴らしい空間表現、低域の解像度も十分です。

この時点でBOSEの廃棄は決まり・・・・
嫌な予感が当たってしまった!!とT様は頭を抱えています。

実は、この時点で駄目もと、万が一を期待して(しないで?)3,150円でこのスピーカーを買ったことを告白されました。

もう満足しきっています。これしかないのか・・・
ちょっと可哀想になって(意地悪をしたくて?)
後ろの小型スピーカー(SonicsのAnima)を聞かせてあげました。当然ですが全く音色も出方も違います。
T様を現実に引き戻してあげました。先ほどの満足顔も悩み顔に・・・

オーディオは比較することが駄目なんです! 
これを聴かなければ満足していたでしょう!?
でも聴いてしまったら駄目ですね(笑)
さてどうしましょう!? 
と、ニヒルな顔になっているかも知れない私です。
普通のオーディオ屋さんなら、このスピーカー安くしておきますよ!
と攻めて来るのかもしれません(笑)

 

ここからがスタンド屋としての私の出番です。

悩んでいるT様の前で作業を開始しました。
BOSEのスピーカーを勝手に上下に分解。
上だけをスタンドにセットします。

流石はBOSE! 腐っても鯛と言わせてあげようと思ったのです。
上側は小型のシングルコーンスピーカー1発もの。
悪い音が出る筈がないのです!

非常に自然なバランスで美しい音が出ています。
やはり低音がもの足りませんが低域の減衰は自然です。
どちらかというとBGMに流すラジオのような聴きやすい音であり、
ピュアオーディオではありません。
T様も同じ感想。
音の広がりと定位感が尋常でないほどに良くなっていることもご理解いただきました。
見ててください!とこの音をベースに私がチューニングを重ねました。

とりあえず私の予想が正しいことを確認するために
簡易的にセットしました。

外した下側スピーカーをスタンドの下部に収納しました!
こんなことが出来るスタンドは世界広しと言えどもわが社だけです(笑)

低音用を床に直起きしたら駄目なのは分かっていますので、
持参されたBOSE純正スタンドの流用を思いつきました。

金属面でスピーカーを受けたくないので、スタンドの上下を逆にして使いました。
薄い金属板なので床への振動低減にも使える、
この鉄板を少し鳴らした方が低音の輪郭が出てくるはず、などと考え、
ベース自体を床から持ち上げることにしました。
セッティング終了!
私自身が想像した以上の効果で、素晴らしい音が出てきます。

50万程度の大型スピーカーに互するような音。
太いけど緻密さがあり、柔らかさもある。意外と早い音。
上下の定位は若干甘い物の、非常に奥行きがある音場、
左右方向の定位感も十分、オリジナルでは得られない音です。

似ている音がない・・・独特の音ですが味があります。
2時間ほど、様々な音楽を聞きます。

T様は感激でスゴイヤ!スゴイヤ! 
まったく別物スピーカーだ! 完全にピュア用に変身している!

志賀さん凄い! ここまで出しちゃうなんて!!
と涙ぐんでいます。
基本的な方針に間違いがないことを確信したので、
仕上げのセッティングを行いました。

下側のスピーカー台も床面から適正な高さに持ち上げます。
サイドプレススタンドのプロタイプ押し座を流用しました。

床への振動伝達を減らし、床の共鳴を無くします。
押し座ネジ長を調整し、最適な高さを求めました。
仕上げのセッティングを開始します。

スタンドの前後方向を逆にしました。
上側のスピーカーも横置きにして<見た目のバランスを整えます。

ロボットみたいなイメージだった全体外観が
BOSE363用にあつらえたようなイメージを醸し出しています。

最終的に使用した機材は
RB/SEスタンドのプロタイプ(プロ押し座35)です。
それにBOSE純正スタンドの高さ調整用として
プロタイプ押し座55を8本追加しただけの簡単な構成となりました。

T様はBOSEの純正スタンドが再利用されることに驚き、喜びを感じたようです。

最終的なセッティングと直前のセッティングで聞き比べます。

低音用スピーカーの下部支持をチューンした右側の方が緻密で早い低音が出てきて、全体に音が締まっています。
これで決まりです。

一度セッティングを全て外し、最初の状態からT様ご自身でセットしていただきます。
試聴室でセッティングを実体験すると、ご自宅でのセッティングが非常に楽になります。
試聴来訪される方の大きな特典と言えるかもしれません。

 

ご自宅に戻られたT様から、ご自宅でのセッティング写真と共に今回のご感想をいただきました。
いい音を聴いたら、それは耳から離れず、忘れられなくなってしまう。
そして、自分の音と比較した瞬間に、いい音を求めてしまう。
そんな音を求めた旅だったような気がする。

志賀さんとの出会いがなかったら、この音には出会えなかった。

長時間にわたり、一言、やれることは、全てやってみましょうと、全力で汗をながして、BOSE363をピュアオーディオ用スピーカーとして生きかえらせたのです。

まず、本器は121のフルレンジと242のトゥイーターとウーファーが下を向いたアクースティマス方式で、ウーファーの口径のわりには、低音の量が多く、作られた低音で、ボワーンボワーンとして、JAZZのベースの締まった低音は、聞こえません。

まるで、映画館のような音で、ピュアオーディオの音からは程遠いものでした。
ただ、打ち込み系の音、人工的に作られたは、好感が持てました。

志賀さんは、121の音色の良さに着目され、121だけを外して、スタンドにセットしました。
音色はいいが、低音が出ません。
すると志賀さんは、242トゥイーターとウーファーをスタンドの下部にセットして、363のスピーカー台を反対にして、242の下にセットしたのです。
低音を調節すると低音が締まるだけでなく、音の余韻が残り、
まるでフロア型スピーカーのように変貌していたのです。

長時間聴いても疲れない、さりとて締まった低音は出る。まったく自然の音なのです。
いつまでも、ひたっていたい音空間であり、唯一無比の音なのです。

そして、音楽を選ばずに、全てを聴けることの出来るスピーカーに変貌したのです。
今まで聴けなかったクラッシックが、交響曲、管弦楽、オペラまで、マーラーが壮大なスケールで
再現された時は、この音が自分の求めていた音だと確信しました。
BOSE363が、ピュアオーディオとして降臨したのです。

もう処分しようと思っていたBOSE363が、志賀さんによって、本来の姿になり、手放すことの出来ない愛器となったのです。

スピーカーはセッティングで決まり、本来の音を鳴らしきっていないこと、どのスピーカーにも可能性があること。
やはり、プロとしての志賀さんに感服するとともに、
唯一無比の自分の好きな音を授けてくださったことに、深く感謝しております。

乱文、駄文にて失礼いたします。
 
FAPS志賀の感想です。

この試聴室にBOSE社のスピーカーがやってくることは極めて少なく、363との対面も始めてでした。
最初に純正状態で聞いた時は、T様が言われる通りに現代のピュア用としては使えない!と思わされました。

しかしKenwoodの安い小型スピーカーの出す良い音に打ちひしがれ、
更にその後に弊社のスピーカー(Anima)で出した音に現実に戻されて悩み始めてしまったT様を見て、
このままではいかんなと思ったのです。

このシステムの上部は完全なシングルコーンスピーカー。
形も普通なので変な音が出るわけがない! そう信じて、かつ私自身の興味もあり、今回のトライアルを行ってしまいました。
似たようなことをロジャースのLS3/5A+スーパーウーハーAB1の組み合わせで行って、好結果を得ていた記憶も重なりました。

スピーカーの幅がスタンド規定値よりも5mmほど大きいため、通常方法ではセットできませんでした。
長尺ボルトで突っ張って支柱を押し広げる、という少々荒っぽい方法でセット出来た時は、内心ヤッタヤッタ!と小躍りしておりました。

出てきた音が私の想像を大きく超えていたのにも驚きました。
BOSEのスピーカー、腐っても鯛!でした。
もし同じスピーカーを使っていて、締まりがなくて遅い音にお悩みの方がいれば、是非真似なさってください!
開いた口がふさがらない! 目が白黒! のような驚愕の世界を味わえると思います。

今回は、私自身もたくさん勉強させて貰いました。
このよな機会を与えてくださったT様、改めて御礼申し上げます。
新生363! 大事に使ってあげてください。
ありがとうございました。        FAPS 志賀 一司