APS スピーカースタンド 聴レポート    

DYNAUDIO社 Confidence3 @FAPS試聴室  ( FAPS報告 )

2005年9月のとある日、FAPSの試聴室にお客様(S様)がいらっしゃいました。
お使いになっているスピーカーは、DYNAUDIO社 Confidence 3。

ブックシェルフタイプのスピーカーとしては、大型・重量級のもの。
Side−Pressで使えるものか、果たして音はどんなものか・・・・

ご無理を言って、スピーカーだけではなくお使いのスタンドもご持参いただき、実際に聞き比べました。
以下は、FAPS試聴室における試聴の様子と結果のご報告です。


♪ 音出し(ブリロン) ♪

まずFAPS試聴室に常設してあるブリロン1.0の音を聞いていただきました。
S様は、非常に驚いた様子、信じられない・・・という雰囲気で聞き入っておられました。
S様のご希望もあり、ご持参のCDを含め各種CDで音をお聞きになっていました。

お聞きした感想は・・・
小さなスピーカーの割には・・・という言葉があるが、そういう次元を通り越している。
信じられない・・・  こういう凄いスピーカーもあるんだ!

ブリロンはセッティング命のスピーカー。追い込めばここまで出せます。
他のスピーカーも同じで、機器選定の何十倍もセッティングに時間をかけるべきです・・・
そんな話もさせていただきました。 

サブウーハー(オーディオフィジック社「ルナ」)を追加した時の違いもお聞きいただきました。
良質なサブウーハーを追加した時のつながりの良い音質と
豊かでありながら自然な音場もご確認いただきました。
クラシックを良くお聞きになられるS様は、その効果に納得され、強い興味と関心を示していました。 

♪ 音出し(コンフィデンス3+標準スタンド) ♪

次にお持ち頂いたスタンドとスピーカーをセットし、今回の基本となる音を聞かせていただきました。
最初にブリロンをセットしてあった場所に移し変えて試聴しました。
さすがに重量感のある余裕と貫禄のある音です。
相当の音量レベルでも再生しましたが、まったくと言って良いほど破綻する気配がありません。
私としては、これは凄いスピーカー・・・ と思い知らされました。

S様は、鳴らしている部屋の大きさはほぼ同じなのに
鳴りっぷりの良さ、特にアンプの駆動力の大きさに驚いていたようです。
ちなみにこの日使ったアンプは、仏エレクトロコンパニエット社のECI−1。
A級動作で片チャンネル100W(8Ω)のものです。

 

右側の写真は、ディナ標準スタンドです。
ベースとスタンドは、鋳鉄製と思われました。
中空のスタンドパイプには何かが詰められていて、ベースには重量級のコンクリートのようなものが
充填されている、非常に重いものでした。(30kg近いと感じました。)

床面は4点スパイク、少し前方が高くなっている天板(5mm厚の鉄板)は、
高さ調整可能な球面ネジ受け方式となっており、綿密な調整ができるようになっていました。
単体で空中に吊るしてたたいても、ほとんど鳴りが感じられませんでした。

♪ セッティング開始 ♪

純正スタンドとSide-Pressにセットした比較写真です。

Confidence 3は、幅226mm 高さ492.5mm 奥行き336mm 質量15kg
Side-Pressに乗せたスピーカーとしては最大級に近い大きさと重さです。
奥に写っている805と比較してもその大きさがわかると思います。

取り付けは、通常と同様に簡単にできました。1台数分で取り付けられます。
心配した大きさと重さは、まったく問題ありませんでした。
非常に安定した状態で取り付けできました。前後左右の安定性も十分です。

取り付け後の外観についても、S様は非常に満足されたようでした。
大型フロアタイプに近い空間占有量がありますが、
純正以上に見た目の安定感もあり、圧迫感もありません。
C3独特のSPベース部もスタンドデザインにマッチしていました。

♪ 試聴結果 (単体比較) ♪

最初は、FAPS試聴室の常ですが、モノラル状態で比較試聴開始です。

純正スタンドを使うとモノラルであるにもかかわらず、ステレオ的な音場が感じられます。
明らかにスタンドの鳴りが出ているのが分かります。

Side-Pressに切り替えた瞬間に音源が点になります。

これを聞いただけで、標準スタンドでは上下方向の定位が無いに等しいことが分かります。

Side−Pressに乗せた音質は、明らかに明瞭なものになっています。
心配されていた中低域の痩せは、まったくありませんでした。
低音の音程と輪郭が明確になるため迫力が増す方向になっています。

♪ 試聴結果 (ステレオ試聴) ♪

S様は、最初に音を出した瞬間からその違いに気がつかれたようです。
オーディオ暦20年以上、広いジャンルの音楽をお聞きとのことで確かな耳と経験をお持ちでした。
試聴室のCD・LPだけではなく、ご持参頂いたすべてのCDをたっぷりとお聞きいただきました。
その時間は、3時間近く及びました。

空間の広がり、オーケストラの臨場感、倍音の素直な伸び方、低音の解像力向上等々
様々な感想をお聞かせいただくと同時に、その場で購入いただきました。
S様、ありがとうございました。

S様ご自身の詳細な感想は、ご自宅で聞き込んだ後にいただけると思います。
機会があれば、別途ご紹介させて頂きたいと思います。

♪ 蛇足 (当日のお試し実験から) ♪

Confidence 3は、ツイターが下についている、ちょっと変り種的なスピーカーです。
そのせいかどうか、以前からパワーのある低音に比較し、
高音域が多少負け気味に聞こえるという・・・S様の意見をお聞きしました。

Side-Pressは上下逆の取り付けも簡単にできるため試してみました。
音は、非常にクリアで鮮明になりました。が・・・・・
鮮明を通り越し、先鋭的な激しさを感じました。
別物の音、極めてオーディオ的?な音と言えると思えるほどです。

二人の結論は、この音は、ディナの音ではないのではないか、という点で一致しました。
ツイターが下に来ることを条件とした音創りがなされていると思いました。

その他、ご持参頂いた純正スタンドにN805をセットして聞いたり・・・

木製一本足に接着!された三角形SP「スパイカ」の音を聞いてもらったり・・・・
S様は、スパイカの柔らかく雰囲気に富む音色もお気に召されたようでした。
聞きたい音は・・・ その日の気分や体調により変わる。
こういう穏やかな音が欲しい時もありますね。そんな話もしていました。

S様がお帰りになった後、
Confidence 3の醸し出す凄まじいまでのエネルギー感に酔っていた私・・・
繊細で独特の空気感を感じさせる愛しのブリロン(笑)に・・・
音を出させる気持ちにはなりませんでした。

良いものを聞かせてもらった後に感じる虚脱感と自分の音に対する失望感
毎度のこととはいえ、辛い時間が続きます。
これが次への起爆剤になることが分かっていても・・・