FAPS 新型 Side−Press Sky スピーカースタンド お客様レポート
2015.7.13
FAPS試聴室における お客様自作の特殊バックロードホーンスピーカーの試聴レポート サイドプレス・エアー、驚異のフルディメンション(全方向)・メカニカルアース能力!!! 茨城県内にお住いのお客様、spcjpnorgさんが試聴室にご来訪くださいました。2回目のご来訪です。 今回は渾身の力作、ダンプド・ダブルホーン・バックロードホーンスピーカーを持ち込まれました。 サイドプレスAirスピーカースタンドによる試聴・評価が目的です。 今回のスピーカーはダブルバックロードホーンタイプであり、ホーン開口部はスピーカーの下側にあります。 従って通常の天板のあるスピーカーでは開口部が塞がれてしまい、バックロードホーンが機能しません。 持ち込まれた自作スピーカーシステムです。10cmのシングコーンスピーカーが搭載されています。 スピーカの下側に二つバックロードホーンの開口部があります。 ご参考 : 本スピーカーの設計図、音響特性等 スピーカー内部が左右に分割され、長さの違うホーンが二つ内蔵されています。 出口開口部分を狭くして低音の出方を調整した極めて珍しいスピーカーシステムです。 (1)FAPSシステムの試聴 試聴に先立ち、試聴室の後方に設置した類似タイプのスピーカーの音を聴いていただきました。 イギリスPMC社のバックロードホーン内蔵方式のTB2iというモデルです。Artistスタンドに乗せてあります。 PMC TB2iの内部構造 聴いた音源は、spcjpnorgさんが普段聴いておられるCD音源です。 約30分ほど聴いた後の感想は「すごくディジタル的な音ですね!」 最初、私は言っている意味がわかりませんでした。金臭い音に聞こえたのかと思いました(笑) 例えば、CDをコピーする場合に実際にCDを再生しながらライン出力を使ってアナログで録音し、それを再びディジタル化してCDに焼けつける方法があります。 この方法ではCD再生側でディジタル信号をアナログ化して、アンプ・録音機等を経由して録音されます。 途中で様々な処理が行われるため、オリジナル音源の音質は相当に変化してしまいます。 もう一つのやり方はCD内のディジタル信号をそのまま取り出し、そのままCDに焼いてしまう方法です。 余計な処理が入らないため、オリジナルと同品質なコピーができます。 今回、spcjpnorgさんが言った意味ですが サイドプレススピーカースタンドはオリジナルの持っている音も何も加工せずにそのまま出してしまうのでディジタルという表現をなさったようです。 試聴後にspcjpnorgさんがブログに書かれた説明図でとても良く理解できました。なるほど、その通りです。 FAPSのスピーカースタンド作りの基本は「何も余計な仕事をしないスタンド」です。 良い音は良いままに、悪い音は悪いままに出すのです。 スピーカースタンドが余計な仕事をすると・・・ 音量が増え、音の輪郭が太くなり、音色が混濁してしまいます。 何を聴いても同じ響きが乗ってしまい、低音域は混とんとして音階すら分からなくなるケースもあります。 奏者の位置が不明瞭になったり、歌手の喉仏の大きさがT-REX並になったりします。 spcjpnorgさんの説明図は、それを実に良く表した上手な説明だと思います。 (2)試聴の準備 スピーカーのセッティングを行います。 持ち込まれたスピーカーのサイズ、形状を吟味し、最適のポジションでセッティングを行いました。 スピーカーの形状とサイズを確認して側面押し座の位置、自重受けスパイクの位置を決めます。 セッティング終了。 水平設置とし、リスナーの少し後ろで焦点するように内振りにセットしました。 スピーカーユニットの設置高さは1150mm。等身大再生の理想の位置です。 高さが450mmある背の高いスピーカーですが、しっかりと安定してセットされています。 自重受けスパイクには自社製のカーボン円板受け座を使いました。 底面の状態、左右分割板の真下に自重受けが来ています。 底面の開口部を空気の流れを阻害しない状態にしました。 (3)試聴開始 長丁場の真剣勝負です! 試聴の様子 アンプはクレル社のKAV-400Xi、スピーカーケーブルは試聴室標準のマルチョウエンジニアリングさんのラダーケーブルを使いました。 細い単芯線を使った音が素直なケーブルであり、サイドプレスの開発概念に似ています。 まずspcjpnorgさんがご持参くださったCDをすべて再生し、各録音の試聴ポイントを確認なさっていました。 次にFAPSの試聴音源を使って、様々な音を確認しました。 先に私の感想を 複雑な内部形状のためか、すべての再生音に独特の響きがあるように感じましたが、温かみのある音色で音楽を気持ちよく楽しめるスピーカーです。 上下の伸びも十分で、オーケストラの再生も軽々とこなします。 本物の重低音ではコーンが前後に激しく動いてしまい、ユニット損傷が心配になります。小口径なのでやむを得ないですね。 小型ユニットと幅の狭い箱の効果で抜群に明瞭な定位感、左右後方に広がる広大な音場です。 聴きやすい音色もあり、素晴らしいスピーカーシステムでした。 こういう音もいいなあ・・・これ、欲しいなあ・・・とつぶやきましたら 「図面ありますよ! 自分でお作りになってください!!」との冷たいお言葉が(笑) サイドプレススタンドとの相性は抜群というか、このスタンドでなければこのスピーカーは鳴らせない! と強く確信しました。 試聴の最後にこの音を是非録音させてくださいとのご希望があり、数曲を録音しました。 個人的には、オーディオの再生音を録音して評価することに疑問を感じていますけどね(笑) 録音終わり近くになってから、録音機の位置が低く前過ぎて、スピーカーの軸から外れて中・高域が薄そうに感じましたが・・ 時すでに遅し! この時の録音のいくつかは、ご自身のブログ、YouTubeでその音を聴くことができます。 https://www.youtube.com/user/spcjpnorg 実際の音とは違いますが、定位感の良さ、低域の切れの良さ等は感じられると思いました。 おまけの試聴 ご希望の試聴が一通り終わった後、 ちょっと遊びましょう!! と部屋の左右コーナーに設置してあるサブウーハー2台を接続しました。 サブウーハー「ルナ」 ドイツのオーディオフィジック社が自社の素晴らしい小型スピーカー「ブリロン」用に開発したサブウーハーです。 非常にハイスピードで解像度の高い低音と何と10Hzから再生可能という一種の化け物ウーハーです。 部屋の大きさに合わせて低音の響きをコントールすることができます。 今回は61Hz以下を受け持つようにセットしました。 ちなみに試聴室にあるスピーカの中で最も高価なもの、定価は左右セットで90万ほど(中古を安く買ってます) これをつなぐとオーケストラの風のように軽やかな重低音を感じるようになり、録音によっては部屋が揺れます(本当に揺れます!) 更なる特徴は、中高域の音色が非常に美しくリアルになります。 これでサンサーンスの3番、マーラーの5番、鬼太鼓座の巨大太鼓等を聴いていただきました。 相当にぶったまげていたように思いました(笑) 決して低音の迫力に驚いたのではありません。 必要な時にだけ、まったく遅れることなくふっと出てくる風のような重低音 難しいと思われたバックロードホーンの低音域との極めてシームレスな再生音に驚かれたようです。 持ち込まれたスピーカーの至上の再生音であったのではないかと思います。 spcjpnorg様の忌憚のないご感想は、ご自身の書かれたブログをお読みになってください。 試聴を終えたあとに頂いた感想というかお言葉は 「今日の目的はすべて達成できました」 「サイドプレスとの相性は最高です!」 実に適切なご感想、試聴中の会話からも非常に沢山の音楽をお聴きになっていることが感じられ、 素晴らしい感性の耳をお持ちの方であることがわかりました。 非常に快活で元気な活動的なおじさんです! ●今回お越しくださったspcjpnorg様の「FAPS試聴室での突撃試聴レポート」です。 (1)『FAPS試聴室』突撃リポート第2弾〜「底面開口型DD-BH」vs「サイドプレス」(笑) http://eco-speaker.sblo.jp/article/152587691.html (2)『FAPS試聴室』突撃リポート第2弾[その2]〜サイドプレス・エアー、驚異のフルディメンション(全方向)・メカニカルアース能力!!! http://eco-speaker.sblo.jp/article/153323179.html ありがとうございました。とても興味深く楽しい時間でした。 |