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新型スタンド「覚醒Tall」は、弊社T-TOPスタンドのユーザ-Duane様がSNSで呟いた一言から生まれました。

高さ1mの覚醒があればいいのに・・・

この一言が次期覚醒について悩んでいた私の開発意欲を刺激しました。

Duane様は覚醒Tallの最初のユーザ様であると同時にこの製品の名付け親となりました。
覚醒Tallご導入後の感想も含め、一連の経緯を紹介させていただきます。


2024年の8月末のとある日、利用しているSNS(X)のフォロワーさんの呟きが目に入りました。

弊社T-TOPスピーカースタンドを用い、INOUEスピーカーを鳴らしているDuaneさんの一言でした。 写真はFAPS T-TOPスピーカースタンド使用中のものです。

T-TOPはINOUEスピーカーとの相性が良く、お勧めの組み合わせとして多くのユーザー様に愛用されています。



同時期、私は次世代覚醒用の新型フレームを試作し、評価試験を行っていました。開発の目的の一つに超小型スピーカーにも対応することがありました。
使えることは確認できたのですが、超小型スピーカーのため音源位置が低い。高さ60cm程度では実用にならない、という問題。


小型スピーカーのために開発した歴代のFAPSサイドプレススピーカースタンドは、スピーカーを1m程度の高さに持ち上げることを設計方針にしていました。
小型スピーカーの空間表現の素晴らしさを生かすための方策です。

スタンドが変わってもやるべきことは同じです。しかし、ゆらゆら揺れる覚醒を高さ1m対応にする勇気はなく、諦めかけていました。

Duaneさんの一言は、そんな私にやる気を出させました。試しもせずに脳内で悩んでいても仕方ないだろう!自分。


最初にどんな経緯だったのかをご紹介します。
2024年8月末のこと

Inoueの10cmユニットを使ったスピーカーの音付き呟きが

呟き主は、XのフォロワーでもあるDuaneさんでした。

ん? 1mの覚醒とな!




まともなセッティングにしてあげないと。。。
覚醒の1mが欲しい

と言っているではないか。


公開の場でやってみることを宣言してしまった

…覚醒の1m級欲しい
超小型SPにも対応できる新型フレームを使い
長尺座(特注)を使えばできないこともないけど。
安定性は試してみないと分からないので、そのうち遊んでみます。

早速返事の呟きがきました

「ありがとうございます。無いものねだりの戯言のような呟きを拾って頂き恐縮です。
高さがあれば!と思っていたので、よろしくお願いします。」


とりあえず、コストをかけずに高くできるかを実験

スピーカーの受け座を延長しただけ。
極めて不安定・・・・・まともに設置できない。
この方法の延長はできないことを確認。やっぱり想像どうりだった。

コストアップとなるが、フレームを3枚にして2階建て構造の覚醒を試作してみた。
追加する支柱は、覚醒Low用の短い支柱をそのまま流用。 

結果は、オーライ!!
  
想像・不安に反して、意外としっかりと立っている。イヤ、標準覚醒よりも安定しているのかも・・・・エーッ!
スタンド全体のねじれに対する剛性がアップしているではないか。

やっぱり、思ったことはやってみるもんだ! と自問自答。

この際なので、結果もSNS上で報告。
待ちきれない! という感じでDuane様から購入の打診が。値段どころか、名前すら決まっていなかった新製品を言い値でお買い求め下さました。
 

単純にスピーカー受け座を伸ばした試作品

グラグラと揺れて・・・

スピーカーをきちんと乗せることすらできない。

こんなもの外に出せない!

却下。




値段は高くなるが・・・

3枚フレームで2階建て。

使える!!

思っていた以上に安定する。

音も良くなっている。

Duane様は覚醒Tall(覚醒+Tallキット)の納入直後に,SNS上で感想を紹介されました。



本日、SSS覚醒トール受け取りました。ありがとうございます。

意外にコンパクトな梱包と丁寧な仕事、そしてあまりの華奢さに驚きました。
知らない人が見たら、見た目との価格差に卒倒するかもしれませんね。

早速組んでみました。標準覚醒スタンドに大きい方のKI16cmを乗せた結果です。

※注 事前の打ち合わせで、標準型覚醒の状態で組立て納品し、2階部分はご自身で組み立てるということにしていました。


   

覚醒+KI16cmの最初の感想

想像以上に華奢で揺れますね。

標準モデルでも想定より高さがあり、KI16cmを乗っけるのが恐ろしくなるほどでした。
この揺れと不安定さ、思い浮かんだのは五重の塔やスカイツリーです。

音的に評価出来るほど聴き込んでいないのですが、第一印象はT-TOPの力強さそのままにスピーカーが束縛から解放されたように感じます。

心配していたf0付近の低域のダブつきや芯の減退も感じられません。
SPボックス自体に剛性と重量があるので直結されているユニットの運動量に対するカウンターウエイトとして充分なのに加え、
SSS覚醒で固定でなくフリーになっていることで共振がキャンセルされているんだろうと想像します。


高さが出たのとスピーカー下の物量が減ったので余計な付帯音が無く朗々と鳴っているようです。


KI10cm用なのに、既にこちらで常用したくなっています(笑)

大型SP用の低い覚醒より、こちらの標準型の方が開放感が出やすいのでしょうか?

今まで何度もスタンド変えたり家族の要望に応えたりするのを考えたことがありますが、テレビの高さを変えること考えると、気が重くやれていませんでした。

しかし、嬉しいことにそれを跳ね返すだけの説得力のある音を既に奏でてくれているんですよね。
自分にとっては黒船二号です。

良いものをご提供頂き、そして背中を押して頂きありがとうございます。

引き続きよろしくお願いいたします。


覚醒(銀)を使い込んでからの新たな感想もいただきました。

もともとT-TOPを押し座3点(+軽くメタル2点)支持の変則で使っていたので、比較的スムーズに覚醒に移行できたのかもしれません。

Xでも少し触れましたが、音の収束も早く、音量増してもよりうるささを感じにくくなった印象です。
音色や楽器の描き分けも向上しており、打楽器の打音感なども良く、キックなどリアルにドスッと来ます。

ただ、全面で来る押し出し感のようなものはT-TOPに軍配が上がりそうです。(この辺を意識してつっかえ棒などあがいていました)

音以外ではスタンドの存在感が薄れ圧迫感が減ったのと、設置面積が減り動線がスムーズになったのが挙げられます。

そして掃除も楽になりました。これらはリビングオーディオでは重要なファクターです。
総じて良い方向に変化して、覚醒の導入は大正解でした。

不思議なのは、音出し中に支柱の振動に比べ、減衰効果があるようで床はそれほど振動を感じないことです。
これは、支柱が只の丸棒ではなく全ネジで凸凹がある構造も関係しているのでしょうか?

なお、つっかえ棒はその効果について先人が方々で提唱されていますが、イノウエKIスピーカーの開発者、井上健三氏も理念の一つとしてユニット(箱)と壁の完全固定を唱えられていました。
振動板の運動による反作用を考えると、これには同意するしかないのですが、こと覚醒との相性で言うと最悪なのです。
両方の良さを生かす方法はないかと思案しましたが、なかなかいいアイデアや施工方法は浮かびませんね。

完全固定できないなら、出来るだけフリーのほうが振動がキャンセルされ減衰されるメリットのほうが優るだろうと今は捉えています。


当初の目的であった、KI10cmを覚醒Tall に乗せた最初の感想



ここで初めて覚醒Tallという名前を提案されました。


実は名前をどうしようかな・・・・
覚醒High とか覚醒タワーとか、ツリーとかと思案中でしたが
ありがたく「Tall」を使わせていただくことにしました。。

実は新製品の覚醒Nero(ネロ)も、Duaneさんの発案によるものです。
なるほどなあと同感し、使わせてもらいことにしました。

ありがとうございます。



 
Inoueの10cmユニット搭載のKI10cmがセットされた覚醒Tall。  ベースを加えた設置高さは97.5cm。
スピーカーが開放され、嬉しくなってついXで解放的にツィートしてしまいました。

新型覚醒の名前、勝手に覚醒Tallなどと呟きましたが、大丈夫だったでしょうか?

未だに見ても触ってもそのミニマムさに驚きます。
三段を組んでみて初めて覚醒の理が分かったような気がします。
これ、揺れることで四角いものを3点支持する不安定さを軽減しているんですね。

しっかりかつしなやかに、という相反することを両立出来ているのが、このスタンドの凄さで音の良さにも繋がっているように感じます。

二日経ち、馴染んで来たのか音の分離や位置関係などの表現がより鮮明になり、
音像が〜、音場が〜、とか言われる方がいる訳が少し分かりました。

良いものをご提供頂き、そして背中を押して頂きありがとうございます。

覚醒tallを使い込んでからの新たな感想もいただきました。

ラックの隙間やメタルラックの上、と不遇だった我が家のイノウエKI10㎝を開放して頂き有難うございます。

覚醒Tallによって空間を得て実にのびのび鳴るようになりました。
足元を当初の軽い合板+制振ゴムから重量級のしっかりしたRASKボードにしたところ、音がすっきりして付帯音が減り、高域も伸びました。

アンプ含めた上流と部屋が半端なため、実力を発揮できておらずまだまだ道半ばですが、スピーカー周りはこれにて決着と言えそうです。

設置については、つっかえ棒や各接点固定などアレコレ悩み迷走しかけていましたが、どれも中途半端で覚醒の良さを減じ耐震性にも無理が生じると判断。

Xで志賀さんより的確なリードも頂き、結局、スピーカー底面と両面テープで補強に落ち着きました。

セッティング変更も安心して行えるようになり、シンプルイズベストといった感じで気に入っています。





● FAPS 志賀の感想

Duane様、新製品、覚醒Tallの開発の後押しをしてくださりありがとうございました。
最初のユーザ様であり、名づけの親にもなっていただき、感謝しています。

永らくT-TOPスタンドをご愛用いただいてからの覚醒への変更、様々な意味で嬉しいです。
特にInoueスピーカ用のスタンドは、T-TOPスタンド言う状態が新たな展開となることへの期待が膨らみます。

T-TOPと覚醒には技術的な共通点は少ないように思われると思いますが、実は音質向上面で重要な関連があるのです。

オリジナルのT-TOPスタンドは、スピーカー3点支持方式で、リジットに乗せることが基本となっていました。
しかし、Inoueユーザーの皆さまは、オプションのサポートバーをグラグラみたいな状態で取付けて4点支持としておられます。
私は、その方法に疑問を持っていたのですが、今は技術的にも納得しています。
まず、4点均等なスピーカー支持というのは、実はほとんど出来ないのです。見かけは4点支持に見えても、支持点の接触は3点半程度。
1か所は、半分遊んでいるような状態で不安定な支持となってしまいます。
それを前方の2点をグラグラ(しなやか)に支持することで、理想的な4点支持ができている可能性があるのです。

ものを支持するうえで、グラグラ状態というのは好ましくないように思われがちですが、揺れた状態でも急激な衝撃を与えずにしなやかに逃がす(いなす)ことができます。
Inoueユーザーの皆さんは、そう言いう意味で上手な使い方をしているということになります。
実は、その利点を覚醒は応用していているのです。地震時にフラフラと揺れる挙動は言い返すと安定した支持をしているからこそ出来るのです。

覚醒のゆらゆらを対するべく、質実剛健的な発想で支柱を太くしたり、数を増やしたり、薄いフレームを厚くしたり、床・壁等からの補助支柱を追加する行為。
覚醒開発時に検証済みなのですが、こういう行為は覚醒の持ち味を根本的な部分から破壊する結果となります。

大地震でスピーカーが落ちて壊れたりする可能性はありますが、上記のような対策を行ったとしても家が壊れたら同じことです。
その辺を割り切って良い音を楽しめるうちに楽しむ。趣味の世界なのでそれで良いのはないかと思ってます。

これからもFAPS製品をご愛用くだ去って欲しいと思います。


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