都内にお住まいのT様 (KENWOOD LSF-777)
DTMをなされるT様から、miniスタンドの導入記及びセッティングのチューニングに関する
非常に詳細なレポートを頂戴いたしましたので、原文のままご紹介させていただきます。
オーディオ装置を押入れを利用した机の上にセットしなければならないという
厳しい条件の中でいろいろと工夫され、
良い音を求めて苦労されているT様の奮闘記でもあります。
【 最初に頂いた導入記です 】
先日、miniスタンドを購入いたしました、Tと申します。
私は、オーディオのことはそれほど詳しくないのですが、
良心的な価格で販売いただいたこともございますので、なるべく丁寧に感想などを書きたいと思います。
到着から2週間ほどたち、音の傾向などもつかめて参りました。
私は、パソコンでDTMをしたり、日常的にパソコンと連携した音楽を楽しむために、
現在すでに持っているシステム(Kenwood K's)を生かしたいと考えておりました。
しかし、現在居住している部屋は、畳敷き六畳一間の風呂なし木造アパートであり、
以前使用していたような、床から立ち上がるタイプのスピーカースタンドは使用できません。
また、スペースの関係で、押入れを机代わりに利用しているような状況で、
せっかくそこそこのスピーカーを置いても、
以前のような良い音で聞くことができなくなってしまい、残念に思っていました。
当時考えていたのは、おそらくスピーカーを押入れ台という、それほど丈夫でない
板の上に、直置きしていることが原因ではないかということでした。
そんなとき、たまたまネットでファミリーアーツのminiスタンドを見つけ、
机の上での使用を念頭に設計されているということを知り、興味を持ちました。
ケーブルや電源をいじるのもいいのでしょうが、
住んでいる場所からもおわかりのように、お金はありませんし、
スピーカースタンドは投資額の割に得られる効果が大きいですからね。
スタンドの構造からも優れた効果がありそうだという予感もありました。
スピーカーの背面に穴を開けるのは少々ためらいがありましたが、
気に入ったスピーカーで転売する予定もないため、決行しました。
別に購入した、付属のものより1センチ程度長めのステンレス製ねじで固定しました。
取り付けとセッティングには1時間程度かかりました。
(LSF-777には、付属のねじでは長さの点で少々強度不足のようでしたので)
設置形態は、添付写真の通りです。押入れ板の両端に設置しました。
バスレフ型スピーカーということもあり、横の壁から5cmほど、
背面の壁からは20cmほど離して、周りのディスプレイなどと接触しないよう気をつけて設置しました。
スピーカーの傷防止については、1円玉を、
床面の傷防止には5mm厚ほどのアルミ製インシュレーターを使っております。
LSF-777をセットしたminiスタンド
また、机の上でのモニタ用、かつ両サイドにすぐ押し入れの壁があるということもあり、
少しスピーカーを内向きに傾けて設置しました。
miniスタンド導入当初のセッティング状態
その結果、以前よりも、音の立ち上がり・分離、定位感、すっきりした低音の押し出し感、
中高音の純度などの点で、かなりの改善がありました。
このうち、定位については、同じ一枚の板にのせなければならないという悪条件を、
かなりクリアできているように思います。
このスピーカーがその用途にはそれほど向いていないのを承知の上で、
DTMのモニタスピーカー用途も兼ねておりますが、以前は、モニタ用としては重厚で、
周波数別の分離感にやや乏しい発音状況だったのが、何とかこれで使えるかなという感じにもなりました。
もちろん、ふつうに音楽を楽しむ分にはとても楽しく聞けます。
最近は、このシステムで音楽を聴く時間が増えました。
とはいっても、なかなかCDを買えないので、圧縮音源のネットラジオを聴くことの方が多いですけれど。
購入してとても良かったと思います。
ただ、スパイク直刺しでも安定性はとても悪いですね。3点のピンスパイク支持で、
奥行き30cm強かつ重心が前よりのLSF-777との組み合わせのせいもあるのか、
そのうちの前の1本ピンに重量が集中するようです。
押入れの中で使うので、倒れても机の上から床に落ちるなどということはないので、
心配ありませんが、ふつうの机の上で使うにはコードを引っかけたりする際に
ちょっと不安もあるかと思いました。
一方で、スピーカー底面が5~6cmほど宙に浮くわけですが、
これによる空間のスッキリ感というのは、想像以上でした。
私は、安アパートという限界の中で、どれだけ部屋の空間をスッキリ見せられるか
ということにも若干のこだわりを持っているつもりなのですが、大変満足です。
音への影響はさておき、スピーカーの下の空間に小物を置いたりできなくもないですし。
それから、通常なら見えないところにある押入れの台に置くということもあり、
それほど神経質にならずに、直接下の板にスパイクを刺すこともできたのですが、
なんとなく、直接刺した方が良い音がするような気がします。
スピーカーの自重・重心と、下の板(厚さ18mmで、押入れの板としては、
しっかりしている方だと思います)の柔らかさの関係で、前の1本ピンが
どんどん板に食い込んでいってしまうので、一応インシュレーターの上にのせて
いますが、設計者としては直接刺す方がおすすめなのでしょうか。
以前メールをいただいたように、厚手のMDF板などを新たに買って設置した方がよいのでしょうか。
その場合、MDF板と押入れの板との間は、何か挟んだ方がよろしいのでしょうか。
実際試してみないとわからないのかもしれませんが。
本当は、もっとスピーカーの周辺を空けた方が良いとか、コンポを積み重ねない
方が良いなどあるでしょうが、スペースの関係で難しい面もあります。
ただ、そうしたことも含めて、写真をご覧になってお気づきの点等がございましたら、
何かアドバイスをいただけますと幸いです。
今後、Side-Pressを試せるような環境の物件に転居するようなことがありましたら
是非使ってみたいと思います。
良い商品の開発を願っております。
【 T様の最初のレポートに対するFAPS感想(メール) 】
今回は、写真付きの詳細なレポートを頂き、ありがとうございました。
miniスタンドでここまで詳細なご報告を頂いたのは初めてです。
オーディオ的に厳しい環境の中で良い音を求められる姿勢には感じるところ大であります。
セッティングにも苦労と工夫の跡が見られますね。
その中でMiniスタンドがお役に立てたこと、嬉しく思います。
ご指摘のように、miniスタンドは構造的に安定性が不足する部分があります。
特に大きめのスピーカーの場合は、その問題が顕著だと思います。
申し訳ありませんが、お気をつけてご使用ください。
セッティングの写真を見て感じたことがいくつかありますので、参考までにご報告させていただきます。
まず、左右に広げすぎかなと感じます。
左右の壁とコーナーに近づきすぎているので低音がこもり気味と思います。
コンポ、CRTを間に持ってくるのは止むを得ないと思います。
可能であれば、本をSPの外側に配置するだけでも相当に変わると思います。
SPがコンポ、CRTと同一面(少し奥?)にあるようですが、
ツイターの振動板がコンポより5cm程度前に来る程度に前進させ、
SPの中心線が自分の頭に向かっている位、もっと内振りさせてはいかがでしょうか。
上の二つで相当なニアフィールドリスニングになりますが、音は更にリアルになると思います。
簡単にできると思いますので、一度お試しになってください。
スパイクの受け方に関しては、金属製よりも多少固めの板材で受けた方が音が落ち着きます。
5cm角程度の端材で良いと思いますのでいろいろ試してみてください。
【 FAPS感想をお聞きになったT様の感想 】
セッティングについてご指摘いただいた点について、早速変更してみました。
【 セッティング変更後のシステム全体状態 】
スピーカーの一番壁に近い部分でそれぞれ側面から20cm、背面から26cm
の空間を取り、内側に約30度ずつ角度をつけて設置しております。
スピーカーの前面バッフルが、ディスプレイやコンポの5〜10センチ前にきた状態です。
(斜めに設置しているので、端から端までで距離に差があります。斜めということで
音波がディスプレイ表面に干渉するということはないのでしょうか?)。
その結果、確かに、より一層低音の抜けが良くなり、前に出てくるようになりました。
以前と比べて音量を大きくしているわけではないので、大丈夫だとは思いますが
アパートのほかの部屋に響かないかちょっと心配です…。
いやいや、このような形態でのニアフィールドリスニングを試したのは初めてですが、
自然な低音と奥行きを伴った上での、ヘッドホンライクな感覚が楽しめますね。
FAPS様にアドバイスをいただくまでは、ここまで角度をつけた設置方法があるという
ことを知りませんでしたので、驚きました。
押入れ台の上を机にしたり、コンポを置くことを考えつく前は、ヘッドホンしか
使えませんでしたので、3年前には奮発してSennheiserのHD600を購入しました。
しかし、今後は基本的に夜中以外はこのスピーカーでいけそうです。
解像感がやや落ちる以外は、高い臨場感、音の拡がりが大きい、長時間聴いても
疲れないなど、ほぼ全ての面で利点の方が大きいように思いますし、もともとHD600は
モニタ用途に最適なヘッドホンとはいえませんから。
LSF-777はもともと、前面バッフルが上方向に傾斜しているため、miniスタンド
に取り付けたときのさらなる上方向への傾斜とあわせますと、椅子に座ったときの
頭の位置と、ツィーターの延長線がちょうど一致します。
この点で、今回の設置形態をとった時には、モニタ用のスピーカー台として
一層ふさわしいのではないかと思いました。
押入れの上で、ここまでの音が出せるとは思っていなかったので、大変満足です。
今後は、頃合いをみて底面にMDF板などを敷いてみようかと考えております。
今の環境で、これ以上安価に改善できる点はそれくらいかと思いますが、どうでしょうか。
参考までに、私のシステム構成を書いておきます。
パソコン:自作WindowsPC (Case:Antec Aria)
MB/CPU/RAM/HDD:MSI 865GM3-FIS / P4 2.8c / 1024MB / 250GB
アンプ:KENWOOD KAF-7002
CDP:KENWOOD DPF-7002
MDP:KENWOOD DMF-7002S
スピーカー:KENWOOD LSF-777
オーディオインターフェイス:EDIROL(Roland)UA-101
(サンプリングレート48kHzまではUA-101からのDIGITAL OUTを
DPF-7002のDACで処理し、それを超えるものはUA-101単体で変換)
【 FAPS感想 】
再び沢山の写真と共にレポートを送っていただき感謝申し上げます。
セッティングに関する私の感想が、お役にたったようで何よりです。
機材を重ねておくことの影響やスピーカーとCRTの干渉の影響がないとは言いませんが
画面を見ながら作・編曲する以上、止むを得ないですね。
私は、高さ50cm幅60cmの小型のルミナスラックをSP間に置いてCRTを下に
機材はラックの上に乗せています。
こうするとSP間の空間が増えるので更にクリアな音質になります。
MDF板は、机の共振が気になることがあれば、お試しになってください。
机との間に凸凹があり板が落ち着かない時は、
ホームセンターで売っている網状のズレ防止シート等を試してみてください。
今回は、押入れの中での音楽再生という特殊な条件でのセッティングでしたが
機会があれば、miniスタンドを広い場所で大きな音量で鳴らしてみてください。
卓上スタンドというイメージを超えた本格的なオーディオ再生が楽しめます。
このminiスタンドは、ブリロンをサブスピーカーとして手元で末永く利用したいという
お客様に標準スタンドの音質を維持した卓上スタンドとして好評を得ております。
T様のLSF-777も同じような形で永く活躍できると思います。
これからもよろしくお願い申し上げます。