FAPS    Side-Press スピーカースタンド お客様レポート

  都内にお住まいのO様 (Brilon2.0

オーディオフィジック社のBrilon2.0をお使いになられているO様から頂いた感想です。

O様は新たにBrilon2.0を導入され、タンノイのスタンドをお使いでしたが限界を感じられ、
Side-Pressをご試聴になられご導入くださいました。

O様から頂いた最初の感想です。

1週間色々と試してみましたが、足元にクリティカルに反応しますね。
今はフローリング(安普請)+MDF1.2cmで使用していますが、御影石は評判どおり駄目でした。
今後もいろいろ試していきたいと思います。

ところで、スタンドの天板が無いことによる効果は絶大だと思いますし、
ブリロン2にはとても合っていると思うのですが、
サイドから圧迫するというシステム上
ソナス・ファベールのようなある程度エンクロージャの鳴りを利用するようなスピーカとの相性は
イマイチのような気がしますがいかがでしょうか。
末永く付き合っていくであろうスタンドですので少し気になります。

このご質問に関するFAPS回答は、本レポートの最後に紹介させていただきます。

試聴期間を終了し、ご導入をお決めいただいたO様から頂いた詳細なレポートです。

●使用機材
CD-T Esoteric P-50s
↓自作銀製デジタル同軸
IA SHARP SM-SX-10
↓PAD Museus
SP AudioPhysics Brilon2.0

ブリロン2.0を手に入れることができたものの、純正スタンドは手に入れられなかったので、
ブリロンに合うスタンドを探していました。
私の手持ちのTannoy製スタンドもなかなかに堅牢な作りではありましたが、
やはりブリロンの実力を出し切れるレベルではないと感じたためです。

そこでブリロンユーザーの間で好評らしいSide-Pressを試聴してみる事にしました。

到着後、すぐに開梱。
なんだか頼りなさそうな鉄パイプでできたスタンドが・・・
「ほんとうにこれが素晴らしいスタンドなのか?」疑問に思いましたが、
とりあえずスタンドをセットして適当にセッティングして音出しをしたところ、
適当に置いたにもかかわらず爽やかな音が出ました。

おそらく誰もが一聴にして天板が無いSide-Pressのメリットを感じることができるでしょう。
上下左右そして奥行き、とても広い音場が展開されます。
特に上下の展開は天板のあるスタンドには真似はできないでしょう。
とにかくスピーカを中心とした音の放射は素晴らしく、
点音源に近い小型スピーカの特性をより引き出していると感じました。

ヘイリー・ウェステンラの「アメージンググレイス」は明らかにヴォーカルが伴奏の前に出てきます。
録音自体はかなり甘いと思っていたので、これには驚きました。

ダイアナ・クラール「The Girl In The Other Room」はヴォーカルがシャープに決まり痛快。

ジャズはあまり聴かないのですが「土と水」では蝉の声が天井から聞こえるほどの
音の広がりを見せます。
ただし、小型スピーカ故に低音が出づらいのでベースなどは面白みに欠けましたが・・・

この1週間Side-Pressを使用して感じたのは、
Side-Pressは小型スピーカの利点をより引き出すものだということです。

10万円を超えるような高価なスタンドは使用したことがありませんので
比較は出来ないのですが、
一般的なスチール製スタンドに比べればかなり良いです。
ただし、見た目はお世辞にもゴージャスとは言えません。むしろチープです。
所有欲を満たせるものではないと思うので(FAPS様すみません)
リッチな気分を味わいたい人は他のスタンドを検討したほうが良いと思います。

ただSide-Pressは試聴可能なので一度試聴してみると良いですよ。
私は・・・試聴して手放せなくなりました。


O様、詳細で忌憚のないご意見ありがとうございます。
音に関する感想は、Side-Pressの特徴を的確にお聞きになっておられるなと感じました。
小型スピーカの利点をより引き出すものだという感想は、それを狙って作ったものなので嬉しいです。

さて最初にご質問いただいたソナス・ファベールとの相性に関する件ですが、
私は、箱鳴りを利用したスピーカー、あるいは大型のスタンドと共に音造りをしているスピーカーとの相性に関するご質問と捉えました。

箱鳴りも当然ですが、大型のスタンドは想像以上に大きな響きを発し音質に大きな影響を与えます。
豊かな響きに感じる場合が多いのですが、スタンドが大型であるほど繊細感、定位感、音場感が劣化していきます。

メーカーは、そういうことを承知の上で、SPとスタンドをセットにした音造りを行っており、それをウリにしていつ筈です。
それが好みに合えば音楽性豊かなSPと評価されることが多いように思えます。

しかし、何かの機会に他のSPと比較した場合に豊かな響きととらえていたものが、
実は余計な付帯音や鳴りと感じた時に不満や新たなスタンドの必要性を感じるわけです。

こういう場合、Side−Pressはスタンドの影響を極小化し、SP単体の素の音を出すように作用します。
音質的には、使用しているSPユニットの特性にもよりますが、
一般的にすっきりとした切れ味の良い音に変化します。
この変化は、ソナスのように響きを生かす音色とは異なるものであり、
そういう音をお好みの方から見れば相性が悪いと判断する場合もあります。

一方、響き過ぎる音色に嫌気がさしていた方にとっては望んでいた音色が得られることになります。
このように相性というものは、どんな音を望むかによって変化するものだと思っています。

サイドから圧迫するというシステムとお書きですが、
実はSide−Pressの側面押し座の押し付け力は、とても少ないです。
支柱を手で押し広げればSPが外れる程度です。
この程度の力で変形したり鳴りが止まるSPはほとんどないと思います。
Side-Pressで音が変化する要素は、実は、あの天板のない特殊な構造と軽さなのです。

同じ構造で全て無垢材を使ったタイプも試作しましたが、音質的にはかなり落ちました。
もっとも良かったものはすべて中空材を使ったものでした。
しかし、あまりに軽すぎ物理的な安定性を欠くため、現在のものに落ち着かせたのです。

作りが立派で重いスタンドが良いという意見もありますが、音質だけを言えば私は間違いと断言できます。
重いスタンドが発する不要音は、基本的に消せません。
インシュレーター等を利用して対策する場合もあるようですが、
それは基本的にスタンド選択の誤りを覆い隠す行為にほかなりません。

外観がゴージャスでなくむしろチープというご意見は、その通りですが
胸を張ってお受けするとこができます。
あの音を出すためには、こうするしかなかったという事実が私の背中をおしてくれています。
自然で余計な色付けのない音こそが本当にゴージャスな音だと思います。

FAPS 志賀