都内にお住まいのS様からいただいた感想 (ビクターSX−5U)
S様は、長いオーディオ暦を経て、特別の思い入れのあるビクターSX−5Uを使い続けておられます。
SX−5Uの隠れた能力を引き出すためのスタンドの必要性を感じられ、T−TOPスタンドのご試聴ならびにご導入に至りました。
試聴前のメール内容も含め、S様のオーディオ観や導入に至った経緯や結果等についてご紹介させていただきます。
試聴中にいただきました問い合わせに対するFAPSのアドバイスも紹介させていただきます。
S様のオーディオ観と試聴時のセッティングについて
(以下、S様から頂いたメールをそのまま掲載させていただきます)
T-TOPスタンド試聴の申し込みに対してすばやい対応に感謝しております。
この連休を利用して、セッティングを色々と試していますが、ちょっと色々悩んでいるところがあって、ご相談申し上げる次第です。
本題に入る前に、我が家の状況などもろもろご説明申し上げます。
まずは、現在の機器から、、、、
スピーカーはご存知の通りビクターSX−5Uです。このスピーカーには格別の思い入れがあります。
もう30年以上聞いているスピーカーです。
中学生くらいのときに親に買ってもらったスピーカーで、以来このスピーカーをメインに使用しております。
一時、住宅事情により、小型スピーカー(YAMAHA 10Mやら、JBL4312Mやら)を試しましたが、
結局、SX−5Uに戻ってきたという次第です。
おそらく現行のモデルのほうが、きっと良い音がすると思いながらも、なにやらSXに対する思い入れと
、サランネットをはずしたときのルックスが好きで、どうしてもSXから卒業できません。
ビンテージ物だから、、、、そう思いながらも、彼の実力を本当は信じていたかったのです。
私は、いわゆるオーディオマニアとはちょっと違います。
再生機器やアクセサリー類にお金を掛けることに対して、自己満足に浸るような、、、
言葉が過ぎるかもしれませんが、それはちょっと違うと思います。
私は、音楽が大好きですが、オーディオ機器が好きなわけではありません。
好きな音楽を、レコーディングエンジニアが意図した、そのままの状態で聞きたいと思うだけです。
機器にはお金を掛けていません、、、、というよりもそんな贅沢が出来る生活状況ではありませんでしたから。
ほとんどヤフオクや中古品です。
アンプは山水のAU-D507X(秋葉で中古で買いました)、CDPはマランツのCD−MDコンパチCM-6200というものです。
アンプとCD/MDやプレーヤー、チューナーをつなぐケーブル類はすっきりとまとまるように、ジャストサイズで全部自作しました。
見た目重視というか、、、、一応ベルデンの線を使いました。
スピーカーケーブルは300円/Mくらいの安物です。
196●年生まれで、早熟だった私は11歳のときに洋楽に目覚めて、いまだにメインで聞いているのが、その時代のもの。
ジョニ・ミッチェル、カーリー・サイモン、ロバータ・フラック、サイモン&ガーファンクル、アメリカ、イーグルス、、、、
日本のアーティストも矢野真紀やSAKURA、最近のものではサンボマスターなど、色々聞いています。
ちなみにリファレンスCDはロバータ・フラックの「やさしく歌って」です。
クラシックは聞きません。
そんなこんなで、この春に長年の賃貸生活から脱却しまして、新築マンションを購入!
13畳のLDKを生活の中心にするべく、テレビ台、オーディオラックを奮発して購入!!
引越しして当初は床にブロックを置いて、その上にSXを設置しておりました。
当然ながら、低音が出すぎて、ブーミーなもこもこした感じで、
スピーカースタンドの必要性を感じていたところに、御社のHPにたどり着きました。
見れば、昔のブックシェルフ型スピーカー用のスタンド!
これだ!って思いました。ルックス的にもすごく格好良いし、、、。
これが結構我が家では重要で、見た目的にすっきり収まってるというのがポイントで、LDKにオーディオ
機器やらテレビやらDVDやらを、全部まとめてセッティングするので、お客様が来たときにも、この部屋
が応接みたいになるわけで、ここで全部完結させたいというのがあるわけです。
そんなこんなで、ピュアオーディオの方からすれば、おそらく不純な動機で、今回の試聴機貸し出し依頼にいたったわけです。
で、試聴してみました。
まずは、推奨されるセッティング条件を無視して背面の壁から30センチ、サイドの壁から20センチくらいのところです。
スピーカーの間にはテレビ台とオーディオラック。
要するに、新調したテレビ台やオーディオラックにフィットするような設置の仕方です。
最初は2点スパイク+自重受け、床は1円コイン受けにしました。
なにぶん新築マンションなもので、床に傷つけたくないって言う理由からです。
正直言って、この状態でもすごい進化でした。
例によってロバータ・フラックの「やさしく歌って」をかけると、、、、、すごいすごい!
各楽器の分離したクリアーな聞こえ方など、段違いでした。
試聴機が到着した晩は、それで満足して眠りに着きました。
そして翌日、同じ位置で若干うちぶりにして、スピーカーの面を、テレビ台やオーディオラックよりも
ちょっと前面に出して、聞いてみました。
昨夜よりもさらに音が来る感じで、よりダイレクトな聞こえ方で、より押し出しが強くなったように感じました。
さらに、次は自重受けの部分をスパイク受けにして、聞いてみたところ、さらにクリアー感が増してきたと思いました。
正直言って、これで満足だったのですが、、、、さらに探究心が出てきて、背面の壁からの距離を1Mと
り、さらに左右の壁からの距離も60センチくらいとってみました。
これが、、、悩みの元になってしまいました。
各楽器のクリアーさが段違い!今まで聴いたことの無いすばらしい音!
SX-5U、君の本当の実力ってこんなに凄かったのかっていうくらい、カミさんと感激してしまいました。
しかし、しかし、このセッティングにすると、スピーカーだけが中途半端にLDKを占領してしまい、部屋
の実用性がかなり落ちてしまうし、何だか中途半端なスピーカーの位置になってしまうのです。
優先順位がオーディオ第一ならば、これでなんら問題ない、その状態で聞けばいいじゃんっていうとこ
ろですが、我が家の場合にはそうは行きません。
おそらく理論的に考えていけば、背後やサイドの壁に当たる反射音を減らす、スピーカーの周辺に吸音
する類のものを配置して不要な成分を減らしてゆくって言うことだと思いますが、出来れば見栄え良く
、すっきりとおさめたいという考えも有り、色々と試行錯誤している次第です。
すっきりと見せられて、しかも不要な音を減らす良い方法はありませんでしょうか?
何かありましたら、アドバイス願えればと思います。
こんなお願いはひょっとしたら不本意でしょうか?
いずれにしても、満足はしておりますので、、。
●FAPSアドバイスメールより(抜粋)
T−TOPスタンド、気に入っていただけたようで嬉しいです。
私が、598スピーカーの端くれであるYAMAHA NS−700Xモニターを乗せて出た音に驚愕したのと同じ印象を受けたのだと思います。
私自身が物凄いショックだったのです。
スタンドを作ったのは良いが実験用のスピーカーが足りない・・・
オークションを物色し、セットで7千円の上記スピーカーを発見してゲットしたものでした。
国産3wayスピーカーが最後の輝き?を見せた1987年当時の価格が1台59,800円、いわゆる598SPの一つです。
たまたま非常に程度が良いものを入手できたこともありますが、
これが試聴室のB&W N805を超えると思える音を出したのです。
元々YAMAHA 1000Mでオーディオにはまった私です。
今更1000M? 59800円スピーカー!? 国産3WAY・・・・
馬鹿にしきっていたはずなのに・・・ 完璧な逆襲でした。
要するに使いこなしが出来ていなかっただけ、そう確信するに至ったわけです。
ブロックや丸太の台が常識、そういうセッティングでしか聞いてもらえなかった可哀想なスピーカー達とも言えます。
生意気なようですが、彼らにもう一度日の目を見せ、愛用して欲しい。
そう思ってこのスタンドを世に出したのです。
余談ですが、私自身は元々クラシックのフルート奏者であり、数十年前はオーケストラで数々の曲を吹いてきました。
今も某音楽施設の運営スタッフの1人としてフルート演奏も含めて活動しております。
各種コンサートの音響・レコーディングも担当しており、その辺の経験を生かして本業の音造りも行っております。
本題に入ります。
最初に答えですが(笑)、セッティングには、終わりがありません。
人が求める音が常に変わるからです。どんなに良い音が出ても必ず飽きます。
いろいろ試して悩むことを楽しんでください。
基本的には、生活の一部として音楽を楽しんでいらっしゃるのですから生活を優先すべきだと思います。
変な場所にスピーカーを置いて、体をぶつけたり、場合によってはスピーカーを落下させたりするようなことは避けるべきでしょう。
私自身も、音だけを考えたオーディオ的なアドバイスはその辺を無視してしまうことが多いのが問題だと思っています。
前後左右を大きく開けてSP間には何も置かない。
SPの設置位置は、部屋の定在波の影響を受けにくくするように、部屋の縦横寸法の奇数分の1になる場所に置く、等々です。
この通りにやると生活空間は滅茶苦茶になります。
こういうのは、将来専用のオーディオ部屋が確保出来た時の楽しみにしておきましょう。
これが出来ない場合は、上記を頭に入れつつ代替策を探すことになります。
まずSP間にある機器との位置関係ですが、とりあえずSPのバッフル面が一番手前にくるようにしてください。
10cm前に出ているだけでも効果があります。
以下は、あくまでも参考です。
機器や壁が近い場合、その表面からの反射波の影響が出ますので、これを軽減する方法をとってください。
手っ取り早い方法として、テレビ等の上面、側面に厚手のインド綿ラグ、フェルト等の厚手の布でカバーする方法があります。
私は、壁に幅60cm、長さ2m位の厚いインド綿ラグをぶら下げて使っています。
いずれもホームセンターで売っている1枚千円とか2千円程度のものです。
スピーカの箱自体から出る反射音を少なくするのも効果があります。
私のHPの試聴室写真にバッフルにフェルトを貼ったYAMAHA NS-700Xmonitorの写真がありますが、これだけで音は激変しました。
バッフル面から反射音が減少し、音の濁りが驚くほど軽減されました。
写真等があればもう少し具体的なことを言えるかも知れません。
もしよろしければ、ご検討なさってください。
●S様の試聴レポート (2回目)
この連休を使っていろいろとトライいたしました。
スピーカー間にあるテレビや機器を可能な限り、後方へと追いやり、スピーカーの面を許せる範囲で前
面にもってきて、、、ただしインテリア的な観点から美観を損ねない範囲で。
このあたりの兼ね合いに苦労しましたが、試行錯誤をしているうちに、まあまあのところまできたと思います。
セッティングに終わりはない、、、まさにその言葉を実感している次第です。
スピーカー後方とサイドに回り込ませるように、ちょっとした吸音的なものを配置してみました。
引越し前に使っていたスダレと暖簾(2メーターほどの長さのものを二つ折りにして使用)を組み合わ
せて置いてみたところ、これでも結構吸音効果が感じられたような気がします。
ひょっとしたら、思い込み効果かもしれませんが、、、。
あらためて思ったのは、今までは不要な音まで聞いていたということ。
必要な音だけを聞こえるようにすれば、なんとすっきり聞こえることか!
どうやって必要の無い音を取り除いていくかが、セッティングのキモですね。
まだまだ試してみたいことは色々とありますが、とりあえずご報告まで。
●FAPSアドバイスメールより(2回目)
写真見ました。実に美しい部屋ですね。
床面がこここまで反射する部屋を見るのは初めてです。
確かにこれでは床にスパイク直刺しというわけにはいきませんね。
苦労の跡が感じられるセッティングですね。
高さを稼げるT−TOPを選ばれたのは正解だったと思います。
綺麗な床からの反射音の影響も相当に大きいと思いますので
出来るものならスタンド付近だけでも何か敷物が欲しいような気もします。
ただ、床に相当の思い入れがあるように感じますので・・・
SPをラックの少し前方に置かれていますが、ちょうど良い具合ではないでしょうか。
課題を言わせてもらえば、
・背の高いラックのガラス面の影響は意外に大きいこと、
・左右のSP間隔が広すぎこと があります。
勝手を言わせてもらえば、
アナログプレーヤーの乗っている背の高いラックを右側ソファ付近に持ってきてしまい、
TVラックを中央に寄せ、スピーカーももう少しセンタ側に寄せて壁から離せると良いように感じます。
こうすると音場的な中抜け傾向が減少し、中音域が充実し、逆に左右への広がりが増大すると思います。
機会があればお試しになってください。
余談ですが、当社のスタンドをお求めになるお客様は、なぜかオーディオマニアよりも音楽ファンの方が多いのですよ。
恥ずかしいからと言って感想を公開しないのですが、各社のミニコンで使用されている方が想像以上に沢山います。
出た音を聞いて機器の買い替えを中止し、その分をソフトに当てられる方も多いのも嬉しいところです。
設置されている場所もほとんどが居間等の生活空間なのも共通です。
往年の国産3WAYをお使いの方には是非T−TOPを使っていただきたいのですが、
昔のオーディオ観の影響が強いようで、どうしても重量級の立派な台を使いたがります。
実は、それが大きな問題なのですけどね。
小型SPは、スタンドの重要性が認知され始めているのですが、中型・大型SPはまだまだのようです。
そういう意味からもS様がT−TOPをお使いになっていただけたことは嬉しいです。
更に使い込んで楽しい音楽のある生活をエンジョイすることをお祈りいたします。
ありがとうございました。
FAPS